4章 RMANバックアップ その2
本章ではARCHIVELOGモードのバックアップの取得について確認していきます。
前章の復習の内容とはなりますが、しっかり抑えて行きましょう。
ARCHIVELOGモードへの変更
前章のNOARCHIVELOGモードではデータベースをMOUNT状態にしてバックアップを取得する
必要がありましたが、データベースを停止できない場合、この運用は難しいです。
またNOARCIVELOGモードだと完全リカバリはできません。
ARCHIVELOGモードであればデータベースがOPEN状態の場合でも取得が可能です。
ARCHIVELOGモードの場合でもOPEN状態で取得できるのは、アーカイブログが作成されるためです。
オンラインのバックアップはデータベースが更新のある状態で取得しているため、
取得中のデータブロックが更新される可能性があります。バックアップ中にデータが更新されてしまうと、
そのバックアップは不完全となり、一貫性のあるバックアップとはなりません。
そのため、オンラインバックアップは非一貫性バックアップとも呼ばれています。
更新されてしまったブロックはデータベースのリストアした後にリカバリが必要です。
リカバリに必要な更新情報はアーカイブログにある為、ARCHIVELOGモードでないとオンラインでは取得できません。
ではバックアップを取得していきましょう。まずはARCHIVELOGモードに変更します。
ARCHIVELOGモードの変更はSQL*PlusでもRMANでも可能です。今回はRMANでの変更を行います。
RMAN> shutdown immediate
using target database control file instead of recovery catalog
database dismounted
Oracle instance shut down
RMAN> startup mount
connected to target database (not started)
Oracle instance started
database mounted
Total System Global Area 1068937216 bytes
Fixed Size 2296576 bytes
Variable Size 746587392 bytes
Database Buffers 314572800 bytes
Redo Buffers 5480448 bytes
RMAN> alter database archivelog;
Statement processed
RMAN> alter database open;
Statement processed
RMAN> select log_mode from v$database;
LOG_MODE
------------
ARCHIVELOG
SQL*Plusなら「archive log list」でも確認が可能です。
アーカイブログの出力先(LOG_ARCHIVE_DEST)
アーカイブログの出力先は「log_archive_dest」パラメータで指定が出来ます。
またアーカイブログのファイル名は「log_archive_format」で指定可能です。
SQL> show parameter log_archive_dest
NAME TYPE VALUE
------------------------------------ ----------- -------------------------
log_archive_dest string /home/oracle/arch
log_archive_dest_1 string
log_archive_dest_10 string
log_archive_dest_11 string
log_archive_destはアーカイブログの出力先を1つ指定します。log_archive_dest_1,2,・・・31のパラメータがありますが、このパラメータを使用すると複数の場所にアーカイブログを出力することが出来ます。
複数の箇所にアーカイブログを出力するメリットとしては、1つのディスクが破損していても、
別のディスクに出力させることができるので、安全性が向上します。
またlog_archive_destとlog_archive_dest_nはどちらか一方しか設定できません。
またlog_archive_dest_nパラメータはEnterprise Editionしか使用できないパラメータです。
アーカイブログのファイル名(LOG_ARCHIVE_FORMAT)
アーカイブログファイル名はLOG_ARCHIVE_FORMATで設定が可能です。
OSによってのデフォルトが異なりますが、デフォルト値が存在する為、
特にファイル名を気にすることはないかもしれません。
ただし、ファイル名が同じ名前で作成されてしまうと、過去ファイルが上書きされてしまうので、
必ず一意なアーカイブログファイル名となるように書式を設定する必要があります。
ファイル名を一意に作成する為に必要な書式は以下があります。
%s: ログ順序番号
%t: スレッド番号
%r: リセットログID
%s(ログ順序番号)はREDOログの一意な番号です。この番号はログスイッチが発生すると、
1増加します。この値は半永久的に増え続けるため、一意な値を生成することが保証されます。
「archive log list」コマンドでも確認できます。
SQL> archive log list
Database log mode Archive Mode
Automatic archival Enabled
Archive destination /home/oracle/arch3
Oldest online log sequence 148
Next log sequence to archive 150
Current log sequence 150 ・・・★ ログ順序番号
%t(スレッド番号)はRAC環境で使用される番号であり、通常のDB構成ではこの値は常に1となります。
RAC環境時には必ず使用してください。
%r(リセットログID)はリカバリ後にresetlogsオプションでデータベースを起動した場合、
ログ順序番号はリセットされ1から始まります。
その為、resetlogsオプションを使用すると、%s,%tだけでは同じファイル名が生成される可能性があります。
%sを使用すると、resetlogsオプションを使用しても一意なファイル名を生成することを保証します。
上記、3つの書式は使用することをお勧めします。
SQL> show parameter log_archive_format
NAME TYPE VALUE
------------------------------------ ----------- -------------------------
log_archive_format string %t_%s_%r.dbf
RMANバックアップの取得
ARCHIVELOGモードに変更したので、オンラインバックアップが取得できます。
$ rman target /
RMAN> backup datafile 1;
Starting backup at XX-XXX-16
using target database control file instead of recovery catalog
allocated channel: ORA_DISK_1
channel ORA_DISK_1: SID=766 device type=DISK
channel ORA_DISK_1: starting full datafile backup set
channel ORA_DISK_1: specifying datafile(s) in backup set
input datafile file number=00001 name=/u01/app/oracle/oradata/ORCL/system01.dbf
channel ORA_DISK_1: starting piece 1 at 04-AUG-16
channel ORA_DISK_1: finished piece 1 at 04-AUG-16
piece handle=/u01/app/oracle/product/12.1.0/dbhome_1/dbs/75rcddn0_1_1 tag=TAG20160804T114328
comment=NONE
channel ORA_DISK_1: backup set complete, elapsed time: 00:00:25
Finished backup at XX-XXX-16
Starting Control File and SPFILE Autobackup at XX-XXX-16
piece handle=/u01/app/oracle/backup/APLDLV/c-397531058-20160804-00.autobkup comment=NONE
Finished Control File and SPFILE Autobackup at XX-XXX-16
オンラインで取得できました。今回はファイル番号が1番のデータファイルのみバックアップを取得しています。
ファイル番号が1番のデータファイルはSYSTEM表領域です。
以上がARCHIVELOGモードでのバックアップ方法となります。
それでは本章までは以前ご紹介した内容の復習となります。
次章からは実際のリカバリ方法を詳細に確認していきます。